平行移動系の転調 〜最も多い転調パターン〜

いろんなパターンがある転調の中で、最もシンプルな形の転調が「平行移動の転調」です。言葉の通り、メロディを変えることなく音程を上下にいくらか平行移動することで曲に抑揚を与える転調ですね。

この平行移動の転調はいろいろな楽曲で使用されていますが、曲の最終盤のサビで転調して、最大の盛り上がりをつくるパターンが多く見られます。比較的キャッチーな印象になりがちなので、シンプルな盛り上がりを作りたいときにはおすすめですが、曲をシックにまとめたいときにはあまりおすすめしません。

キーの移動量としては、+1あるいは+2であるケースがほとんどです。半音1つ分上がる、あるいは半音2つ分(全音分)上がるということですね。

以下、使用例を紹介します。

■名もなき詩/Mr.Children

1996年にリリースされたご存知ミスチルの名曲ですね。この曲の転調は、+1の平行移動転調です。Gメジャーキーで始まり、終盤のサビでA♭メジャーキーへと転調します。

【YouTube】名もなき詩/Mr.Children

●転調前のサビ(1:35あたり~)
Key: Gメジャーキー

コード進行:
GBm7CB7sus4 B7EmA7CDsus4 D

●転調後のサビ(4:31あたり~)
Key: A♭メジャーキー

コード進行:
A♭Cm7D♭C7sus4 C7FmB♭7D♭E♭sus4 E♭

転調後は、コードが半音ずつ上がっていることがわかります。メロディも半音ずつ上がっているだけで、同様のメロディです。

 

では、転調する瞬間の部分を見てみましょう。4:14あたりから始まるCメロ、歌詞「成り行きまかせのー」のところからコードを追いかけてみます。

【YouTube】名もなき詩/Mr.Children

コード進行:
CDB7Em Em7Am7Bm7CDC/DD♭/E♭

A♭Cm7D♭C7sus4 C7FmB♭7D♭E♭sus4 E♭

Gメジャーキー(転調前)
A♭メジャーキー(転調後)

緑色の部分は転調を滑らかにするためのつなぎの部分です。
このようなつなぎ部分がないものも多くありますが、つなぎ部分こそ作曲者のテクニックが問われるところかもしれません。

■Penny Lane/The Beatles

1967年リリースのビートルズの曲。+2の平行移動転調が入っています。この曲では複数の転調が存在しますが、今回は平行移動転調のわかりやすい部分にフォーカスしてみます。

【YouTube】Penny Lane/The Beatles

●転調前サビ(2:18あたり~)
Key: Aメジャーキー

コード進行:
AA/C#DDAA/C#DF#

●転調後サビ(2:35あたり~)
Key: Bメジャーキー

コード進行:
BB/D#EEBB/D#EEB(fin)

この曲も転調後はコードが半音2つ分ずつ上がっており、メロディも半音2つ分ずつ上がっている同様のメロディです。

緑色部分は転調のつなぎ部分です。F#のコードは転調先のキーにおける5度和音になっており、厳密にはこの部分から転調していると言えます。

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