ここではダイアトニックコードではない、5度をルートとするマイナーコードを扱います。これはドミナントマイナーと呼ばれ、CメジャーキーにおけるGmコードになります。
Gm(Ⅴm)は、セクション間のつなぎ部分でアクセント的に使われることが多く、隠し味的に機能しています。前後のコード運びも特徴的なので、そのパターンを紹介してみます。
■Gm-C7-F (Ⅴm-Ⅰ7-Ⅳ)
前述した通りセクション間のつなぎ部分で使われることが多く、イメージとしては、「次のF(Ⅳ)に着地するための助走としてGm-C7(Ⅴm-Ⅰ)を挟む」という感じでしょうか。よって、Fがセクションの頭のコードになっていることが多いです。
このFへの進行はドミナントモーションになっており、ここでのC7は次のFに対するセカンダリードミナントとして機能しています。
ここでのC7はCでも特に問題ありませんが、セブンスが付加されると、よりFへの進行が強く促されます。
くだらないの中に/星野源
2011年リリースの星野源さんの1stシングル。出現箇所は冒頭のメロディです。
Key: A♭メジャーキー
出現箇所: 0:17〜(歌詞:髪の毛のにおいを〜)
コード進行:
|A♭ B♭m7|Cm7 E♭m7 A♭7|D♭M7 Cm7|E♭m7 A♭7|D♭M7…
コード進行(簡易版):
|A♭ B♭m|Cm E♭m A♭|D♭ Cm|E♭m A♭|D♭…
YouTube映像のように半音下げチューニングの場合、以下のようになります。
コード進行:
|A Bm7|C#m7 Em7 A7|DM7 C#m7|Em7 A7|
コード進行(簡易版):
|A Bm|C#m Em A|D C#m|Em A|
ノーマルチューニング&カポタスト1フレットの場合、
コード進行:
|G Am7|Bm7 Dm7 G7|CM7 Bm7|Dm7 G7|
コード進行(簡易版):
|G Am|Bm Dm G|C Bm|Dm G|
と、なります。
この曲では他にもⅤmを使う部分がいくつか出てきます。星野源さんの楽曲ではⅤmの出現率が高く、この曲が収録されたアルバム「エピソード」では収録曲の7,8割にⅤmが使用されているようです。テンポの遅めの曲では得に使用が多く、星野源というアーティストの特徴にもなっているように思います。
風が吹いている/いきものがかり
2012年リリースの24thシングル。出現箇所はサビです。
Key: Eメジャーキー
出現箇所: 0:36〜(歌詞:風が吹いている〜)
コード進行:
|E|G#m|C#m|Bm E7|A B|G#m C#m|…
カポタストを4フレットとすると、
コード進行:
|C|Em|Am|Gm C|F G|Em Am|…
と、なります。サビの前半と後半のつなぎ部分ですね。
珈琲プロムナード/田端悠
YouTubeから自分の曲もひとつ。出現箇所はサビ、歌詞「インスタントコーヒー」の部分から。
Key: D♭メジャーキー
出現箇所: 0:53〜(歌詞:インスタントコーヒー〜)
カポタスト: 1フレット
コード進行:
|F|Em|Dm7 Dm7/G|C Gm7 C7|
|F|Em|Dm7 Dm7/G|C…
コード進行(簡易版):
|F|Em|Dm G|C Gm C|
|F|Em|Dm G|C…
と弾いてます。こちらもサビの前半と後半のつなぎとして、Gm-C7が出てきます。Gm7-C7を入れずに直前のCをそのまま引っ張っても問題ありませんが、ここにワンクッションのアクセントを挟むことで、次のセクションへの推進力を生みます。
■ドミナントマイナー聴き比べ
Vmコードがない場合とある場合を簡単に演奏しているので、是非聴き比べてみてください。
■ドミナントマイナーのユニークな使い方
ここから先はCWL課外講座(note)の中で、ドミナントマイナーコードの上手く使った例を紹介・解説しています。
興味があれば是非ご覧になってみてください!
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