ブルースはロックギタリスト達に根強い人気のある音楽ジャンルです。ギターセッションなどの場でも定番としてよく演奏され、ブルースギターを知ることは音楽の味わい深さに触れる機会になります。
今回は初級者向けに、ブルースの基本のバッキングについて、ポイントを絞って紹介していきます。
■スリーコード
ブルースのバッキングの基本パターンはスリーコードを軸に構成されています。スリーコードは度数表記だとⅠ,Ⅳ,Ⅴ。そのスリーコードにそれぞれセブンス音(♭7th)を加えた、Ⅰ7,Ⅳ7,Ⅴ7で演奏されることが多いです。
Aメジャーキーを例にすると、A7、D7、E7、ですね。
これらのセブンス音の意味はそれぞれ異なります。少し専門的な話になるので、この記事の一番下で簡単に解説しておきます。
■12小節ブルース
ブルースには定番のコード進行があります。下記に示すのはブルースの定番系である、12小節ブルースと呼ばれる進行です。
12小節ブルース:
|Ⅰ7|Ⅰ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅳ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅰ7|
|Ⅴ7|Ⅳ7|Ⅰ7|Ⅰ7|
※繰り返し演奏する場合は最後をⅤ7として頭に戻るなど、場合によって多少の変化はあります。
Aメジャーキーの場合は以下のようになります。
Aメジャーキーの例:
|A7|A7|D7|A7|D7|D7|A7|A7|
|E7|D7|A7|A7|
■ボトムリフ
ブルースにはボトムリフと呼ばれる定番のリフがあり「このリフを弾いてこそブルース」というような雰囲気すらあります。
前述した12小節の進行に沿ったボトムリフです。
ボトムリフにも派生がありますが、上記の動画は最も基本的なボトムリフの形です。完全1度+完全5度のパワーコードのような形に、完全5度の音を動かしながら演奏しています。
このリフを押さえておけばブルースセッションへの第一歩、という感じでしょうか。動画を参考に弾いてみてください。
■おまけ 〜ドミナントセブンスコードを使用する理由〜
スリーコードそれぞれにセブンス音(♭7th)を付加した、Ⅰ7、Ⅳ7、Ⅴ7を使用するケースが多い、ということを前述しました。こういった”○7”という形のコードをドミナントセブンスコードと言います。これらⅠ7、Ⅳ7、Ⅴ7、それぞれのセブンス音の意味するところを簡単に解説しておきます。
Ⅰ7, Ⅳ7のケース
一般的にブルーノートと言われる音があり、和音やメロディにおいてブルージーな雰囲気を与えます。そのブルーノートは所定のキーにおける♭Ⅲ、♭Ⅴ、♭Ⅶの音を指します。
Aメジャーキーと仮定してみましょう。
Aメジャーキーにおけるブルーノート、つまり♭Ⅲ、♭Ⅴ、♭Ⅶの音はそれぞれ、
C(ド)、E♭(ミ♭)、G(ソ)になります。
A7(Ⅰ7)におけるセブンス音はG(ソ)にあたります。これはAメジャーキーにおける♭Ⅶの音にあたります。
D7(Ⅳ7)におけるセブンス音はC(ド)にあたります。これはAメジャーキーにおける♭Ⅲの音にあたります。
AメジャーキーにおけるダイヤトニックコードはAM7、DM7なので、これらはM7(メジャーセブンス)を7(セブンス)に置き換えている形です。これらは元の3和音の雰囲気を持たせたまま、4和音に拡張する上でブルーノート音を付加しており、ブルース感をより強める働きをしています。
Ⅴ7のケース
E7(Ⅴ7)はそれ自体がダイアトニックコードであるため、このセブンスは特筆するものではなく、A7やD7のセブンスとは意味合いが全く異なります。このセブンスはいわゆるドミナントモーションを促す機能があり、この場合、E7→A7への進行を強く促します。
【参考記事】ドミナントモーションとは?〜セブンスコードの基本進行〜
まとめ
簡単にまとめると以下のようになります。
A7、D7(Ⅰ7、Ⅳ7)…
そのキーのブルーノートにあたるセブンス。
E7(Ⅴ7)…
ダイアトニックのセブンス、かつドミナントモーションをより促すセブンス。
ここまで長々と記述しましたが、ブルースの際には「スリーコードそれぞれに”7”を付加する」と浅く捉えておいて問題ないと思います。慣習のようなものだと理解しておきましょう。