今回扱うのは「♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰ」という進行です。Cメジャーキーでは「A♭→B♭→C」というコードになります。一部では「マリオ進行」などと呼ばれて親しまれており、ポップスの中でも時折見かけるコード進行パターンです。
■マリオ進行と呼ばれる理由
【YouTube】スーパーマリオブラザーズ[ALL BGM]
FC版スーパーマリオブラザーズのBGM集ですが、0:51あたりからの各ステージクリア時のBGMを聴いてみましょう。
Key: Cメジャーキー
出現箇所:0:51〜(※ポールゴール時のBGM)
コード進行:
|C/G|A♭|B♭|C|
このA♭→B♭→Cの部分が、度数表記では♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰ。このスーパーマリオブラザーズの印象的なBGMのコード進行であることが「マリオ進行」と称される理由になっています。
♭Ⅵコードと♭Ⅶコードがダイアトニックコードではないこともあり、非常にインパクトがあります。最後はⅠに着地しており、このBGMのように曲の終盤のフィニッシュの部分で使用されるケースが多いです。実際にコードを弾いてみると、広いところに投げ出されるような独特の開放感のある終止形になっている感じがしますね。
以下、他の使用例や類似系などを紹介してみます。
■飛べない鳥/ゆず
2000年リリースのゆずの人気ナンバーです。
Key: Aメジャーキー
出現箇所:3:58〜(歌詞:優しさの言葉を持ってー)
コード進行:
|D Dm|A F#m7|Bm7|E|F|G|F|G|A|…
上記の最後F→G→Aの部分が、♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰです。
まさにラスサビの歌い切りの部分で使われており、開放感のあるフィニッシュになっています。「飛べない鳥」という楽曲タイトルですが、飛び立ったような雰囲気さえ感じますね。
■ロビンソン/スピッツ
続いて参考として、少し異なる形の例です。
Key: F#マイナーキー(Aメジャーキー)
出現箇所:3:52〜(歌詞:大きな力でー)
コード進行:
|D|E/D|C#7|F#m|DM7|E|F#m|F#m|
|Bm7|C#m7|F#sus4|F#|
最後の
|Bm7|C#m7|F#sus4|F#|
の部分は、その直前と同じメロディになっており、簡略化すると、
|D|E|F#|F#|
と類似系のコード進行です。
この最後の部分を
D→E→F#(→F#)
とし、Aメジャーキーとしてみると、度数表記は、Ⅳ→Ⅴ→Ⅵとなります。この進行は♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰと同じく、どちらも全音間隔でメジャーコードを並べている進行で非常に形が似ています。
このケースもラスサビの歌い切りの部分で使われており、深く余韻を残すような結びとなっています。