ここでは、Am-AmM7-Am7というクリシェ進行についてです。度数表記では、Ⅵm-ⅥmM7-Ⅵm7 ですね。取り上げているパターンの中では唯一のマイナー進行で、クリシェの代名詞的な定番系です。様々な展開で使用されますが、ポップスだとサビ終盤のトドメ的に使われる場面が特によく見られます。
こちらもクリシェで動かしている音に着目すると、Am(ラ)→AmM7(ソ#)→Am7(ソ)、となっており、Am-AmM7-Am7に続くコードはその変化の流れを受けて、Am6、F#m7♭5、D7/F#、D7等の「ファ#(増4度)」を構成音に持つコードが多いです。
■ベースクリシェとしての使用
このコード進行はほとんどのケースでベースクリシェとして使用されます。バンドサウンドの場合、ベースはこのクリシェの変化音にあてるのが自然なアレンジになります。つまりは、Am-AmM7-Am7(Ⅵm-ⅥmM7-Ⅵm7)に対して、ベースをA→G#→G(Ⅵ→#Ⅴ→Ⅴ)と動かすということになります。
■コード表記の類似系
このコード進行は多くの場合ベースクリシェとして使用されるため、コードのルート音が変化している形で表記される場合もあります。
① Am-AmM7-Am7-Am6
② Am-G#aug-C/G-F#m7♭5
一例を挙げると、上記の2つのコード進行はコード構成音としてはほぼ同じ形です。①の進行のクリシェで変化している音をベース音としてコード表記した形が②というような感じです。(厳密にはAmM7とG#aug、Am7とC/Gは構成音が異なります)
③ Am-Am/G#-Am/G-Am/F#
当たり前ですが上記の③のような表記もほぼ同じ進行となりまあす。ベース音だけを半音ずつ下げていく進行だというのが明確ですね。表記のされ方は様々なパターンがあり得そうですが、コード進行の起点がマイナーコードであり、ルート音が半音刻みである場合は、この進行の類似系である可能性が高いでしょう。
では実際の使用例を紹介します!
■Michelle/The Beatles
出現箇所は冒頭のイントロで以下のような進行です。
Key: F#マイナーキー(A♭メジャーキー)
出現箇所: 冒頭から
※Aメロからは転調しています。
コード進行:
|Fm FmM7|Fm7 Fm6|C#|C|
■Yesterday Once More/The Carpenters
【YouTube】Yesterday Once More/The Carpenters
出現箇所はサビの終盤部分で、以下のような進行です。
Key: Eメジャーキー
出現箇所: 1:14〜(歌詞:When they get to the part〜)
コード進行:
|C#m|C#mM7|C#m7|C#m6|E|B|E…
前述した、サビを締めくくるトドメ的な位置の使い方です。
■糸/Bank Band
出現箇所はサビの終盤部分、1:41あたりから。キーはGで、以下のような進行です。
Key: Gメジャーキー
出現箇所: 1:41〜(歌詞:織り成す布は〜)
コード進行:
|Em EmM7|Em7 Em6|Am7 D|G…
こちらもサビ終盤位置での使い方。ドラマチックな結びを演出します。ちなみに中島みゆきさんのオリジナル曲はキーB♭になります。
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