■スリーコードとは?
スリーコードとはその名の通りに、最も基本的な3つのコードです。
別記事で解説している「ダイアトニックコード」は、所定のキーにおいてよく使われるレギュラーメンバー的なイメージになりますが、スリーコードはその中でも特に主要な3つというような位置付けになります。
パンクロックのようなシンプルな楽曲では特にスリーコードの頻度が高く、ブルースセッションでもスリーコードを基盤としたコード進行がよく用いられます。これらは後に紹介します。
■スリーコードの役割
スリーコードはそれぞれ以下のような役割を持ちます。
トニック(1度和音)
ドミナント(5度和音)
サブドミナント(4度和音)
各キーにおけるスリーコードを一覧にしてみました。
Cメジャーキーを例に挙げると、スリーコードは C,G,F となります。それぞれの機能を簡単に説明してみます。
トニック(C)…
最も安定したコード。コード進行はトニックで終わるのが基本的な形。
ドミナント(G)…
不安定なコードであり、トニックへ進行しやすい性質を持つ。
サブドミナント(F)…
やや不安定なコード。ドミナントほどではないがトニックに進行しやすく、またドミナントへも進行しやすい性質を持つ。
難しく感じる方もいらっしゃると思いますが、初心者の方や音楽理論が苦手な方は、
Cメジャーキーでは ” F→G→C ” という進行が基本的な結び方。
というふうなイメージで覚えておけば十分です。
■主にスリーコードで演奏されている楽曲例
Ob-La-Di, Ob-La-Da/The Beatles
ビートルズから1曲紹介してみます。
【YouTube】Ob-La-Di, Ob-La-Da/The Beatles
Key: B♭メジャーキー
出現箇所: 0:10〜(歌い出しから)
カポタスト: 1フレット
コード進行:
|A|E|E|A|A|D|A E|A|
|A|E F#m|A E|A|
Aメロ、サビまでのほとんどがスリーコード内におさまっているのわかるかと思います。初心者の方には「作曲には豊富なコード知識が必要」と思われている方もいるかと思いますが、スリーコード程度で完結する曲も意外と多いものです。
ビートルズだとLove Me Doなどもまた、ほぼスリーコードの曲なので確認してみてください。
■パンク楽曲での使用例
パンクロックではスリーコードを多用した曲が多くあります。少しだけ紹介してみます。
Minority/Green Day
Key: Cメジャーキー
出現箇所: 0:07〜(歌い出しから)
コード進行:
|C F|G F|×4
|C G|F C|C G|F G|
|C G|F C|C F|G C|…
間奏以外はほぼすべてシンプルなスリーコードで構成されています。
Fighting Fist,Angry Soul/Hi-STANDARD
【YouTube】Fighting Fist,Angry Soul/Hi-STANDARD
Key: Aメジャーキー
出現箇所: 0:14〜(歌い出しから)
コード進行:
|A D|E A|×5
|D A|E A|×4
こちらも間奏部分以外のコードバッキングはすべてシンプルなスリーコード。
■ブルース楽曲での使用例
ブルース系の楽曲においてもスリーコードが基盤となっているケースが多く、アドリブセッションではよくスリーコード進行が採用されます。
ブルースにおいては、スリーコードそれぞれをセブンスコードとし、I7, Ⅴ7, Ⅳ7という形でよく使われます。
I7,Ⅳ7はダイアトニックコードではないですが、付加されたセブンスの音(♭7th)がブルーノートと言われる音になっており、ブルージーな雰囲気が深まる特徴があります。
Johnny B. Goode/Chuck Berry
のちのブルース音楽に大きな影響を与えたチャックベリーの名曲です。コード表記簡易化のためカポタスト1フレットとしてみます。
【YouTube】Johnny B. Goode/Chuck Berry
Key: B♭メジャーキー
出現箇所: 0:17〜(歌い出しから)
カポタスト: 1フレット
コード進行:
|A|A|A|A|D|D|A|A|
|E|E|A|A|…
ブルース独特のリフが入っていますが、基本的なコード進行はスリーコードを基盤としています。シンプルなコードバッキングを入れるとしたらセブンスコードとする方がよりブルース感が出ます。
Lay Down Sally/Eric Clapton
言わずと知れたエリッククラプトンから一曲。
【YouTube】Lay Down Sally/Eric Clapton
Key: Aメジャーキー
出現箇所: 0:20〜(歌い出しから)
コード進行:
|A|A|A|A|D|D|
|A|A|A|A|D|D|E|E|
|A|A|D|D|E|E|
|A|A|A|A|D|D|E|E|A…
こちらもリフ的なフレーズで進行しますが、基本進行はスリーコード構成です。シンプルなバッキングギターを入れるとしたらやはりセブンスコードとする方が雰囲気が出ます。
バーチャルモンスター/田端悠
自分の曲からブルース系のものを一つ紹介してみます。
間奏部分、後奏部分を取り上げてみます。
Key: Aメジャーキー
出現箇所: 2:14〜(間奏)
コード進行:
|A7|A7|D7|D7|
|A7|A7|D7|D7|
|E7|D7|A7|A7 E7|
出現箇所: 2:54〜(後奏)
コード進行:
|A7|D7|E7|A7|
|A7|D7|E7|A7|
|A7|D7|E7|A7|
|A7|D7|E7|E7|A7
間奏、後奏はすべてセブンスを加えたスリーコードのみの進行ですが、ブルースセッションではこういったニュアンスの進行がほとんどです。ブルースセッションの雰囲気が掴めると思うので、是非ご参考に!