落ちサビは、終盤のサビの前に置かれるサウンドの音量を落としたサビを指しますが、元のサビのキーから下に転調して「落ち」感を際立たせる転調の手法を紹介します。
前例は多くはないですが、いろいろな楽曲で用いられており、確立されているパターンと言っても良いかもしれません。
以下、楽曲の例を挙げ、その効果や狙いを詳細に解説してみます。
■Puppet/androp
間奏前のサビからの展開をまとめると以下のようになります。
■サビの展開
1:54〜 2番サビ:Dメジャーキー
2:39〜 落ちサビ:Cメジャーキー
3:02〜 サビ(半分尺):D♭メジャーキー
3:13〜 ラスサビ:Dメジャーキー
2番サビ後、間奏に入るときに+1の転調をしていますが、間奏明けの落ちサビに入るときに-3の転調をし、元のサビのキーであるDメジャーキーから全音下(-2)のCメジャーキーとなります。この落ちサビでキーを下げて落ち感を出しています。
その後、+1の転調を2度繰り返して盛り上がってく雰囲気を演出していますが、落ちサビで一度下がっているため、ラスサビのキーは元のサビと同じキーになっています。よってボーカルの負担をかけずに終盤の盛り上がりを演出できるという効果もあります。
■恋する季節/ナオト・インティライミ
この曲も同様に落ちサビで下に転調するパターンの楽曲です。2番サビ以降のサビを簡単にまとめると以下のような感じ。
■サビの展開
2:19〜 2番サビ:B♭メジャーキー
3:27〜 落ちサビ:Aメジャーキー
3:47〜 ラスサビ:B♭メジャーキー
この曲もまた落ちサビ→ラスサビで+1の転調をしていますが、俯瞰してみると元のキーに戻っているだけですね。落ちサビの落ち感とラスサビのクライマックス感を一挙両得できる転調の仕方になっています。
■夜に駆ける/YOASOBI
1番サビ以降のサビを簡単にまとめると以下のような感じ。
■サビの展開
1:15〜 1番サビ:Cマイナーキー
3:11〜 落ちサビ:Bマイナーキー
3:28〜 ラスサビ:Dマイナーキー
1番サビと落ちサビのあいだが長いですが、この部分は1番サビと同じCマイナーキーになっています。ラスサビは元のサビのキーより高く、大きく上に転調しクライマックの盛り上がりを演出しています。