タイトル上では後半を省略していますが、「C-G-Am-Em-F-C-F-G」すなわち、Ⅰ–Ⅴ–Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ–Ⅰ–Ⅳ–Ⅴ のコード進行です。通称「カノン進行」と呼ばれます。度数の数字部分を並べて「1563進行」などという風に記されることもあるかもしれません。
コード進行パターンの中でも超王道系です。そして数多くあるパターンの中でも、8つ1セットで確立されているものは他にほとんどありません。実使用上は「Ⅰ–Ⅴ–Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ–Ⅰ–Ⅳ–Ⅴ」を基本形として、少しずつ味付けされて使用されるケースが多いです。
■カノン/パッヘルベル
「カノン進行」という名前の由来となっているのが、このパッヘルベルの「カノン」という曲です。誰でも聴いたことがあるかと思いますが、この曲のコード進行がまさにそのカノン進行になります。JPOPでは多用されており、非常にキャッチーな印象。この曲ではDメジャーキーのため、以下のような進行になっています。
Key: Dメジャーキー
コード進行:
|D|A|Bm|F#m|G|D|G|A|
ちなみに「カノン」は楽曲の様式の名称で「輪唱」と呼ばれたりもします。輪唱の形式が使われている「静かな湖畔」や「かえるの合唱」等は誰しも馴染みがあると思います。
■チェリー/スピッツ
カノン進行はAメロやサビでよく使われますが、この曲はAメロでの使用例です。
Key: Cメジャーキー
出現箇所: 0:24〜(歌詞:君を忘れない〜)
コード進行:
|C|G|Am|Em|F|C|F|G|
というような進行ですね。
この曲では味付けのないシンプルな「Ⅰ–Ⅴ–Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ–Ⅰ–Ⅳ–Ⅴ」の形のままです。全く味付けのないまっさらな形で使われている例は、実は結構少ないと思われます。スピッツのチェリーはその中の一つで、カノン進行の模範的な例です。
■さくら/森山直太朗
出現箇所はサビです。
Key: A♭メジャーキー
出現箇所: 1:29〜(歌詞:さくら さくら〜)
コード進行:
|A♭ E♭|Fm E♭|D♭ A♭/C|B♭m7 E♭|
コード進行(簡易版):
|A♭ E♭|Fm E♭|D♭ A♭|B♭m E♭|
というような感じです。
カポタスト1フレットで演奏する場合は、
コード進行:
|G D|Em D|C G/B|Am7 D|
コード進行(簡易版):
|G D|Em D|C G|Am D|
となります。基本的な形からの味付けは様々なパターンがありますが、7つ目のコード(Ⅳ)を、Ⅱmに置き換えるパターンはよく見られます。B♭m7がそれに該当します。
■銀の龍の背に乗って/中島みゆき
リンク先はカバーver.ですが、珍しいので紹介します。カノン進行はBメロ的な位置ではあまり使われない印象ですが、Bメロで使われてる数少ない例です。
Key: G♭メジャーキー
出現箇所: 1:11〜(歌詞:夢が迎えに来て〜)
コード進行:
|G♭ D♭|E♭m B♭m|B G♭/B♭|A♭m7 D♭|
コード進行(簡易版):
|G♭ D♭|E♭m B♭m|B G♭|A♭m D♭|
というような感じです。
曲の始めのキーはF#m(A)で、このBメロのタイミングでG♭に転調しています。転調も手伝ってBメロで独特の改まったような雰囲気が出ますね。この部分をカポタスト3フレットで演奏する場合は、
コード進行:
|E B|C#m G#m|A E/G#|F#m7 B|
コード進行(簡易版):
|E B|C#m G#m|A E|F#m B|
という風になります。
■校庭を走るこどものように/田端悠
YouTube上の自分の曲もひとつあげてみます。笑
冒頭のサビ後のAメロがカノン進行系です。
Key: G♭メジャーキー
出現箇所: 0:27〜 (歌詞:変わってないね〜)
カポタスト:4フレット
コード進行:
|D A/C#|Bm7 D/F#|G D/F#|Em7 A7|
コード進行(簡易版):
|D A|Bm F#m|G D|Em A|
と弾いています。分数コードが増えると複雑に見えますが、意外と複雑ではなく、カノン進行の類似系です。
他にも数多くの曲で活用されています。カノン進行の発展系も多くのバリエーションを持ち、そのどこまでをカノン進行の範囲に含めるかは個人によって少しずつ感覚が違うようです。このあたりのことは別記事で深掘りしてみたいと思っています。
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