度数とは「2音間の距離(=音程)」を数字で表記したものです。
度数は基本的に、2音の内、低い方の音(あるいは基準となる音)から見た高い方の音の位置を示します。
なので、度数は基準となる音に対するもう一つの音の位置を示すものとも言えるかもしれません。
ここでは、度数のしくみや、度数を扱うのメリットなどについて解説していきます。ギターをプレーする上で、度数が役に立つ場面が多くあるので、理解しておきましょう。
やや内容が濃いため、最後にポイントを箇条書きでまとめています。ご参考に。
■度数のしくみ
度数の付け方を学ぶ前に、度数表記の構造を確認しておきましょう。下に度数表記の一例を示します。
度数表記は、数字部分と接頭部分から構成されています。
以下、それらがどうやって決められているか解説していきます。
数字部分
数字部分は、2つの音それぞれから#や♭を除き、その2音と、2音のあいだ間の音の数の合計になります。(すなわち、同じ音名同士の場合は1度となり、0(ゼロ)度というのは存在しません。)
また、数字部分はローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ…)で表記されることもあり、ケースバイケースです。
例1:「ド」と「ソ」の音程
「ド」と「ソ」の音程の考える場合は、ド,レ,ミ,ファ,ソとなるので「5度」となります。#や♭を除くため、ピアノの白鍵をイメージするとわかりやすいです。
#や♭は除いて考えるため「ド」と「ソ#」の場合でも同じように「5度」ですね。
例2:「ソ」と「ド」の音程
「ソ」を基準とすると、「ソ」と「ド」の音程は、ソ,ラ,シ,ドとなるので「4度」となります。
接頭部分
完全系と長短系
接頭部分は、長、短、増、減、完全、などの言葉が入り、「完全」という言葉が使われるものと「長短」という言葉が使われるものに別れます。その分類と規則は以下の通り。
■完全系(1,4,5,8度):
完全位置より半音高い位置は増(#)、完全位置より半音低い位置は減(♭)、がつきます。
■長短系(2,3,6,7度):
長位置より半音高い位置は増(#)、短(♭)位置より半音低い位置は減(♭♭)、がつきます。
接頭部分の決め方
接頭部分は、2つの音の音高の差と、前述した数字部分から決まります。その関係を表にしてみました。
(数字部分では#や♭を除いて考えましたが、ここでは#や♭を除かずに考えます。)
後述しますが、表のすべてを暗記するのはたいへんなので、まずはメジャースケールはすべて「完全」または「長」のつく音程となります。
例1:「ド」と「ソ」の音程
「ド」と「ソ」の音程の数字部分は5度。ド→ソの音高の差は半音7個分のため、完全5度となります。
例2:「ソ」と「ド」の音程
「ソ」を基準とすると「ソ」と「ド」の音程の数字部分は4度。ソ→ドの音高の差は半音5個分のため、完全4度となります。
■表記の種類
度数の表記の仕方も様々なので紹介しておきます。
数字部分
数字部分は、アラビア数字(1,2,3,…)ではなくローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,…)を使うケースがあります。
コードのルート音(頭文字)はローマ数字で表記するので、慣れておきましょう。
接頭部分
「長、短、増、減、完全」は、英語表記や記号表記(#,♭)になるケースがあります。記号表記についてはすでに記述した「完全系と長短系」を参照ください。
英語表記は以下の通りです。
長… メジャー(M,または△)
短… マイナー(m,または−)
増… オーギュメンティド(aug)
減… ディミニッシュト(dim)
完全… パーフェクト(P)
■度数の例
メジャースケールの度数
まずはメジャースケール上の度数を見てみます。
Cメジャースケールを例にすると「ド」が主音になるので完全1度となります。これを基準とすると、Cメジャースケールの各音「ドレミファソラシ」の度数は以下のようになります。
ド… 完全1度
レ… 長2度
ミ… 長3度
ファ… 完全4度
ソ… 完全5度
ラ… 長6度
シ … 長7度
上記のように、メジャースケールの構成音はすべて「完全」または「長」のつく音程となります。
同じ音名でもキーによって度数は変わります。
例えばレの音は、Cメジャースケールにおいては長2度ですが、Dメジャースケールでは完全1度となります。各音の度数はキーによって異なります。
また、先ほどの表を見ると、異名同音(音高が同じで音名が異なる)においても度数表記が変わることがわかります。例えば、レ#とミ♭は音高は同じですが度数表記は異なります。Cメジャースケールにおいては、
レ#…増2度
ミ♭…短3度
となります。
マイナースケールの度数
ついでにマイナースケール上の度数も見てみましょう。
Aマイナースケールを例にすると「ラ」が主音になるので完全1度となります。これを基準とすると、Aマイナースケールの各音「ラシドレミファソ」の度数は以下のようになります。
ラ… 完全1度
シ… 長2度
ド… 短3度
レ… 完全4度
ミ… 完全5度
ファ… 短6度
ソ… 短7度
上記のように、マイナースケールの構成音は、3度、6度、7度がメジャースケール異なり、「短」のつく音程となります。
コードの度数
ルート音を度数で表記
Cメジャーキーのとき、A(ラ)の音はⅥ(長6度)となりますが、コードの場合もスケールと同じように、Cメジャーキーのとき「Am」というコードはⅥmとなります。コードの度数表記は、頭文字の大文字部分をローマ数字に変換すればOKです。
度数表記されたコードも同様に、キーによって示すコードが異なります。コード進行の一例を挙げてみます。
コード進行:Ⅰ→Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ
上記のような度数で書かれているコード進行は、各キーにおいて下記のようになります。
というように「Ⅰ→Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ」と表記した場合は、上記のようにキーによって異なるコード進行を示します。
コードタイプ部分の数字 〜おまけ〜
コードのルート音(頭文字)以外の部分にも度数が使われています。
「C6」コードを例に挙げると、このC6コードの構成音は、Cメジャーコードの構成音に、C(ド)から見た長6度の音(ラ)を足した形になっています。
コードネームのルート音(頭文字)以外の部分は、このルート音を基準にしたときに加えられる音の度数を表しています。(キーの主音が基準ではないので注意)
ここでは深く触れませんが、是非覚えておきましょう。
■なぜ度数を用いるか?
度数を用いる利点は「キーを限定せずにコードや音程の表現ができる」という点です。
楽曲のキーが変わっても、音階が平行移動しただけで本質的な音楽の内容としては変わりません。そのためキーを限定しない表現は便利になるんですね。
度数表記が必要な理由は熟練してくると自然とわかると思いますので、よくわからなくても大丈夫。度数が出てきたときに代表的なキーでコードがイメージできるようになっていると良いと思います。
また、前述した通り、度数の理解が深まるとコードタイプを決めている部分(コードの頭文字以外)からコード構成音がわかるようになります。
音楽理論のベースになる知識なので、是非とも押さえておきましょう。
■ポイントまとめ
度数に関してポイントを箇条書きにまとめてみました。
・度数は「2音間の距離(=音程)」を示すもの。
・度数は数字部分と接頭部分から成る。
・数字部分は2つの音それぞれから#や♭を除き、その2音と、2音のあいだ間の音の数の合計。
※0(ゼロ)度は存在しない。
・接頭部分の名前の付き方は、完全系(1,4,5,8度)と長短(2,3,6,7度)がある。
・接頭部分は、2つの音の音高の差と数字部分から決められる。(表参照)
・コードのルート音(頭文字)の度数はローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,…)表記。
・メジャースケールはすべて「完全」音程か「長」音程。
・マイナースケールは3,6,7度が「短」音程。
コメント