言わずと知れたジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの楽曲「Purple Haze」。この曲のギタースコア的なものも多く出版されていると思いますが、モノによってこの曲のキーの解釈が異なっており、EメジャーキーになっているものとEマイナーキー(平行調:Gメジャーキー)が存在するようです。
キーは演奏に制限を与えるものではないので、キーが何であろうと問題ではないのですが「なぜキーの解釈が分かれているか?」が興味深いですね。
今回はそのキーの解釈が分かれているポイントについて主観で述べていきます。少しマニアックな内容になりそうなので、興味のある方は是非読み物としてご一読ください。
■パープルヘイズのコード進行
【YouTube】Purple Haze/The Jimi Hendrix Experience
この曲では以下のコード進行が繰り返し出てきます。
|E7(#9)|G A|
※この進行を以下 “メイン進行” と記述します。
E7(#9)は通称ジミヘンコードと呼ばれているコードですね。キーの解釈の違いをこのコードを例にすると分かりやすいです。ちなみにこのジミヘンコードの特徴は下記の記事で触れています。
この記事でも言及している通り、この◯7(#9)というコードは、メジャーコードとマイナーコードのどちらのエッセンスも含んでいると捉えられるわけですね。
そうするとメイン進行は以下の2通りの解釈ができます。
① E→G→Aというコード進行の派生
② Em→G→Aというコード進行の派生
これら2つのコード進行について少し解説します。
■① E→G→Aというコード進行
この進行はEメジャーキーで時折出現する進行で、その場合はGが非ダイアトニックコード。楽曲の雰囲気としては、ブルースやアメリカンロックっぽさが出ます。使用楽曲の例としては以下の楽曲など。前例としては多くあります。
Magical Mystery Tour/The Beatles (Key=E)
Back In The USSR/The Beatles (Key=A)
■② Em→G→Aというコード進行
この進行はEマイナーキー(またはGメジャーキー)でよく見られる進行で、その場合はAが非ダイアトニックコード。楽曲の雰囲気としては、メロディアスになる傾向が強いです。使用楽曲の例としては以下。こちらも前例としては多くあります。
Your Song/LOVE PSYCHEDELICO (Key=Bm)
■キーの解釈の観点
ここまでをざっくりと整理すると、、
メイン進行のE7(#9)を、
Eコードの派生と捉える = Eメジャーキー
Emコードの派生と捉える = Eマイナーキー
というような感じですね。では、それぞれのキーの解釈はどういう観点に基づくかを、主観で述べてみます。
★Eメジャーキーと解釈する主張
E7(#9)は表記上メジャーコードの派生と捉えられるので、
仮にEマイナーキーと解釈する場合、E7(#9)という表記は、キーとコード表記に整合性がないように感じられるというデメリットがあります。
★Eマイナーキーと解釈する主張
仮にEメジャーキーと解釈する場合、譜面の調号がファ#、ド#、ソ#、レ#となります。
調号とは五線譜のト音記号やへ音記号の隣に表記される#や♭のことで、調号の#や♭はその度ごとに表記する必要がありません。
この曲ではE7(#9)の#9にあたる「ソ」の音が歌メロやギターソロに頻繁に現れますが、これが現れる度に、譜面にナチュラルを表記する必要があり、譜面の複雑化を招くというデメリットがあります。
■まとめ
Purple Hazeのキーの解釈は、
「譜面の簡素化」と「キーとコード表記の整合性」のどちらに重きを置くかによる、くらいに捉えておけば良いでしょう。
冒頭でも記述した通り、キーは演奏に制限を与えるものではないので、あまりキーにとらわれすぎずに、自由な発想で演奏することも大事だと思います。
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