存在しない音楽キーの一覧 〜調号が8つ以上?〜

■存在しないキーがある?

音楽におけるキー(調性)は、一般的に “異名同音系を除くと” 24種類存在します。
[主音が12種類]×[メジャーorマイナー]=24種類、ということですね。

実際には、異名同音系のキーも存在します。
例えば、F#メジャーキーとG♭メジャーキー。
F#とG♭は同じ音高ですし、F#メジャーキーとG♭メジャーキーのスケール構成音もそれぞれ同じ音高になっています。これらのような、異名同音系を別個にカウントすると24種類以上存在するわけですね。

ただし心得ておきたいのが、
「#,♭が付くキーは常に異名同音系のキーが存在するとは限らない」ということです。

例えば、A♭メジャーキーはありますが、G#メジャーキーというのは通常は使われません。(理由は後述します)

一般的に存在しない(使われることのない)キーを以下にまとめてみます。

存在しないキーの一覧

[メジャーキー]
F♭メジャーキー(変ヘ長調)
G#メジャーキー(嬰ト長調)
D#メジャーキー(嬰ニ長調)
A#メジャーキー(嬰イ長調)
E#メジャーキー(嬰ホ長調)
B#メジャーキー(嬰ロ長調)

[マイナーキー]
D♭マイナーキー(変ニ短調)
E#マイナーキー(嬰ホ短調)
B#マイナーキー(嬰ロ短調)

■例:G#メジャーキーが使われない理由

では、先程の一覧のキーが存在しない理由について解説します。

楽曲のキーは調号との相関を持ちます。
ポイントは「キーは調号の種類(#か♭)と数で判断ができる」ということですね。

初耳だという方は、是非以下2つの記事を参照ください。

【参考記事】調号とは?【各キーの調号一覧表付き】
【参考記事】五度圏表とは?メリットや使い方をわかりやすく!

では、存在しないキーとして、G#メジャーキーをを例にして考えてみます。

G#はA♭と同音高ですね。

五度圏の表を見ると、A♭メジャーキーは調号が♭4つとなりますが、G#メジャーキーも本来それと同じになるはずです。

ところがG#メジャーキーは、その名の通り主音がG#であるため、当然調号は#で記載する必要があります。(G#メジャースケールの構成音も#で表現する必要があります。)

そうすると、理論上、G#メジャーキーの調号は#が8つ必要になります。

調号は原則7つまでとされており、調号でダブルシャープやダブルフラットが出現することは基本的にないと考えてよいでしょう。ちなみに調号に#と♭が混在することもありません。

そのためG#メジャーキーは成立しないんですね。
同じ音高の楽曲はA♭メジャーキーとして表現できます。

(ちなみに、仮に調号に#を8つ用いることが許されるとした場合、Fがダブルシャープ、それ以外に#が1つずつ付く形となり、G#メジャーキーが存在し得ます。)

以上を簡潔にまとめると、、、
#系の調号では、G#メジャーキーのスケールを表現できない。(#が8つ以上必要になる)
といったような感じです。

(調号が8つ以上となる形は、禁止されているかは不明ですが、基本的には避けられているようです。)

■おまけ 〜各存在しないキーの理論上の調号〜

ここまで、存在しないキーの例としてG#メジャーキーを挙げてきました。

その他の存在しないキーも同様に、調号が8つ以上必要になるわけですが、それらのキーを強制的に成立させるとしたら、調号がどのようになるかまとめてみました。ご参考に。