今回は、井上陽水さんの「帰れない二人」という楽曲の冒頭で採用されている特徴的なコード進行パターンを取り上げてみます。クセのある進行ですが、前例も多くあり、パターンとして確立されているので、要チェックです。
まずは「帰れない二人」について見てみましょう。
■帰れない二人/井上陽水
冒頭のイントロのコード進行は以下のようになっています。
Key: Dメジャーキー
出現箇所: 冒頭から
コード進行:
|D D/C|G/B Gm/B♭|
各コードのダイアグラム図は以下の通りです。
(わかりやすくするため弾かない弦をミュートにしています)
このコード進行のベース音を抜き出すとD→C→B→B♭。
この曲はDメジャーキーのため、ベース音を度数表記にすると、
Ⅰ→♭Ⅶ→Ⅵ→♭Ⅵという進行です。
ベース音がトニックから、全音、半音、半音、と下がっていく進行ですが、ここでは♭Ⅶと♭Ⅵが非ダイアトニックの音になっています。
このコード進行はイントロやAメロといった曲の冒頭で用いられるケースが多いです。また、ギター弾き語りなどアルペジオが全面に出る場合、プレイングキーがDメジャーキーのときによく使用されます。このコード進行の押弦パターンは丸覚えしておいて良いでしょう。
※ 鍵盤楽器が主体となるサウンドでは(プレイング)キーの特徴が出にくく、使用されやすいキーはなさそうですが。
■Lucy In The Sky With Diamonds/The Beatles
この記事では代表曲として「帰れない二人」を挙げていますが、この曲の方がリリースが古く、その後の「帰れない二人」を含むあらゆるJPOPに影響を与えているように感じます。
【YouTube】Lucy In The Sky With Diamonds/The Beatles
Key: Aメジャーキー
出現箇所: 冒頭から
コード進行:
|A A/G|F#m Faug|
コード表記は解釈により様々だと思いますが、これも「帰れない二人」と類似の進行ですね。
■残ってる/吉澤嘉代子
Key: Dメジャーキー
出現箇所: 冒頭から
コード進行:
|D D/C|G/B Gm/B♭|
こちらはオマージュ的に「帰れない二人」と似たアルペジオパターンをとっています。
■アジアの純真/PUFFY
Key: Eメジャーキー
出現箇所: 2:13〜(歌詞:開けドアー〜)
コード進行:
|C#m|F#7|C#m|F#7|E E/D|A/C# Am/E|E…
前述した通り、このコード進行はイントロやAメロといった曲の冒頭で用いられるケースが多いですが、この曲ではサビ前のBメロ締め部分で使われるユニークな例です。