楽曲展開の用語「ラスサビ」「大サビ」「落ちサビ」とはどういった意味で用いられているかを解説し、実際の楽曲例を挙げて紹介してみます。
■ラスサビとは?
「ラスサビ」は、ラストサビの略称で、その名の通り楽曲中の最後のサビを指します。楽曲の最後に大きな盛り上がりをもたらすためのサビの部分ですね。ただし以下が注意点。
ポップスやロックでは、Aメロ→Bメロ→サビのような流れが1セット(ワンコーラス)でよく現れますが、この1セットの中に包含されているサビは、一般的にはあまりラスサビと呼ばれません。
あくまで、最後にサビを“付加”することで、よりクライマックスへたたみ掛けるような展開において「ラスサビ」という言葉が使われることが多いです。
ラスサビの例【夜に駆ける/YOASOBI】
ラスサビ: 3:28〜(歌詞:変わらない日々に〜)
終盤でサビを重ねていますが、3:28あたりからのサビがラスサビにあたり、最高潮のクライマックスを演出しています。その前の展開の流れがよくわかるので、間奏明けの2:40あたりから聴いてみてください。
■大サビとは?
「大サビ」は、ラスサビのような終盤のサビ前に置かれる独自のメロディー部分を指して使われています。いわゆる“Cメロ”的な部分です。
「大サビ」という言葉は、多くの音楽愛好家のあいだでは、ラスサビと同じ意味合いで使用されることが多いのですが、音楽業界人の中では前述したような意味で使われることが一般的なようですね。このような相違は知っておくと良いと思います。
ちなみに、この部分がCメロと呼ばれるのは、Aメロ/Bメロ/サビを1セット(ワンコーラス)とする形がJPOPの定番系として定着しており、その次に出現するメロにあたることが多いためです。そのため、Bメロが存在しない曲に対しても慣習的にこれをCメロと呼んだりすることがあります。
大サビの例【名もなき詩/Mr.Children】
大サビ: 4:14〜(歌詞:成り行きまかせの〜)
4:30あたりから始まるラスサビ前のフックとして、大サビが効果的に使用されているのがわかるかと思います。間奏前の3:45あたりから聴くのをおすすめします。
■落ちサビとは?
「落ちサビ」は、終盤のサビの前に置かれるサウンドの音量を落としたサビを指します。音量をグンと下げることで、クライマックス前の静けさを演出します。
落ちサビの例【夜に駆ける/YOASOBI】
落ちサビ: 3:11〜(歌詞:騒がしい日々に〜)
ラスサビの例と同じ楽曲。3:11あたりからの落ちサビは、サウンドボリュームを落とし、ラスサビへの布石となっています。こちらも同様に、間奏明けの2:40あたりから聴くと、展開の流れが掴みやすいと思います。
「夜に駆ける/YOASOBI」とは異なりますが、落ちサビは多くの場合、間奏明けで使用されます。そのような間奏明けでサウンドの音量を落とす展開は、サビだけでなくAメロやBメロに対して使用されることも珍しくありません。落ちAメロ、落ちBメロといった感じでしょうか。笑