ここではオーギュメントコードについて記述します。オーギュメントは出現頻度がそれほど高くなく、体に染み込みにくいコードの一つなので、定番の使用パターンを知っておくことをオススメします。
■オーギュメントコードの構成音
オーギュメントコードの構成音をCaugを例に見てみます。Caugの構成音は以下のようになります。
Caug=(ド ミ ソ#)
ド=完全1度(ルート音)
ミ=長3度
ソ#=増5度
メジャーコードの5度を半音上げた3和音の構成です。
■オーギュメントコードの転回
Caugを例として、コード構成音を音階の円形モデルで見てみると、
ド→ミ、ミ→ソ#、ソ#→ドの間隔が等しくなっていることがわかります。なので、ミをルート音としたEaugや、ソ#をルート音としたG#augは、Caugとコード構成音が等しくなります。
Caug=(ド ミ ソ#)
Eaug=(ミ ソ# ド)
G#aug=(ソ# ド ミ)
こういった特徴を持つコードは3和音系ではオーギュメントコードだけ!ルート音以外の音が最低音となるように音構成を変えることを、転回と言いますが、Caug、Eaug、G#augは転回の関係にあるということになります。
■コード使用例① -Ⅰaug-
Iaugが単体で唐突に出てくるより、Ⅰ→Ⅰaugと並んでクリシェ的に使われるケースが多いです。
ダンスホール/尾崎豊
1985年にリリースされた尾崎豊さんの2ndアルバム収録曲。出現箇所は歌い出しAメロ。
Key: Gメジャーキー
出現箇所: 0:25〜(歌詞:安いダンスホールは〜)
コード進行:
|G|Gaug|G|Gaug|G|Gaug|Am7|D|
Ⅰ→Ⅰaugが繰り返されるシンプルな進行です。
I Need To Be In Love/The Carpenters
【YouTube】I Need To Be In Love/The Carpenters
カーペンターズの名曲から。出現箇所は歌い出しAメロ、
Key: Aメジャーキー
出現箇所: 0:28〜(歌詞:The hardest thing〜)
コード進行:
|A|Aaug|A6|G A7|
ダンスホールと同じく、Ⅰ→Ⅰaugというパターンですが、その後Ⅰ6までクリシェが継続します。
人は。/田端悠
自分の曲からひとつ。出現箇所は冒頭のAメロです。
Key: E♭メジャーキー
出現箇所: 冒頭から(歌詞:人は誰かと〜)
カポタスト: 3フレット
コード進行:
|C Caug|F Fm6|Em A7(♭13) A7|Dm7 Fm6|
コード進行(簡易版):
|C Caug|F Fm|Em A|Dm Fm|
Ⅰ→Ⅰaug→Ⅳ→Ⅳm という進行ですが、この進行も比較的4つ1セットで時々見られる形です。別記事で取り上げてみます。
■コード使用例② -Ⅴaug-
Vaugの使われ方としては、次のセクションに移る直前のVをVaugに置き換える、あるいはV→Vaugと変化されるパターンが多く、その後は高確率でⅠへ進みます。VやV7とは異なる不安定な響きで、次のⅠへの独特の推進力を持っています。
From Me To You/The Beatles
【YouTube】From Me To You/The Beatles
ビートルズから一曲。出現箇所はBメロです。0:34あたりの歌詞「I got arms that long to hold you」のところから。Cメジャーキーですが、ここは部分的に転調しています。
Key: Cメジャーキー
出現箇所: 0:34〜(歌詞:I got arms that 〜)
コード進行:
|Gm|C|F|F|D7|D7|G|Gaug|
V→Vaugというパターン。次はⅠへ進みます。歌メロ自体もV→Vaugのところでaugの音(ここではレ#)になっているため、aug感をしっかり感じられます。
さよならホテル/TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA feat.Ken Yokoyama
【YouTube】さよならホテル/TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA feat.Ken Yokoyama
出現箇所はAメロです。
Key: Bメジャーキー
出現箇所: 0:15〜(歌詞:さよならのホテル〜)
コード進行:
|B|A#m7♭5 D#7|G#m|F#m7 B7|E|D#m7 G#m|C#m7|F# F#aug|
カポタスト4フレットとすると、
コード進行:
|G|F#m7♭5 B7|Em|Dm G|C|Bm Em|Am|D Daug|
と、なります。こちらもV→VaugからⅠへ進みます。この曲も歌メロがaugの音にあたっています。
輪っか/田端悠
自分の曲から一つ。出現箇所は冒頭のイントロ部分です。
Key: Dメジャーキー
出現箇所: 冒頭から
カポタスト: 2フレット
コード進行:
|Dm9 Gsus4(♭13)|CM9 B♭dim|F#m7♭5M7 Gaug|
コード進行(簡易版):
|Dm G|Cadd9 B♭dim|F#m7(♭5) Gaug|
歌メロのない部分での使用例ですが、単にGとするよりもより不安定な雰囲気が出ます。
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