音のうなりとは? 〜周波数の差が生む音の干渉〜

一般的な音のうなりは、周波数が “わずかに異なる” 2つの音を鳴らしたときについて扱われますが、この記事では、2つの音の周波数が “わずかに異なる” 場合と “大きく異なる” 場合のうなりについて、それぞれ簡単に解説します。

音の高さと周波数の関係については、以下の記事をご参考に。

【記事】音の高さと周波数 〜基準は440Hz?442Hz?〜

 

2音の周波数の差が小さいとき(一般的なうなり)

冒頭で記述した通り、一般的な音のうなりは、周波数が“わずかに異なる” 2つの音を鳴らしたときについて扱われます。

周波数が “わずかに異なる” 2つの音を鳴らしたとき、それらは1つの音のように聴こえ、その音の大きさが波を打つように周期的に強弱を繰り返して聴こえます。これを現象を「うなり」と言います。

このうなりの周波数(1秒間に何回波打つか)は、2つの音の周波数の差になります。

実際に例を挙げてみましょう。

例1:500Hzと502Hzの音を鳴らした場合

2つの音が500Hzと502Hzである場合、その周波数差は2Hzなので、1秒間に2回の頻度で音の強弱を感じるようになります。言い換えると、0.5秒の周期(周波数の逆数)で音が強弱するということです。

2音の周波数の差が大きいとき

では、2つの音の周波数の差が大きいときはどうなるでしょうか?こちらも例を挙げて説明していきます。

例2:1000Hzと1090Hzの音を鳴らした場合

①と同じように考えると、周波数差は90Hzなので、本来は1秒間に90回の頻度で音の強弱を感じるようになります。すなわち、音の強弱の周期(周波数の逆数)は、約0.011秒(1/90秒)となります。

ところが、このように周期がとても短い場合は、人間の聴覚は音の強弱を感知できません。視覚の例で言えば、アニメーション(静止画のコマ撮り)が動画のように見えるのと同じです。

ではどのように聴こえるかと言うと、
このように2つの音の周波数差が大きい場合は、元の2つの音はそのまま2つ音として聴こえ、さらにその周波数差の音も小さく聴こえるようになります。

つまり、、
2の場合では、1000Hz1090Hzの音に加えて、90Hzの音高の音がうっすらと聴こえるようになる、ということですね

人の聴覚は、基本的に周期を感じ取るようになっていて、うなりの周期が小さくなると(周波数が大きくなると)、音の強弱ではなく、その周波数の音高として聴こえるようになるんですね(不思議ですよね)

このうなりによって、和音の響きにわずかな音の濁りを生じることがあります。これを考慮して考えられた音律が、純正律であると考えてよいでしょう。音律について学ばれる方はこのことを頭に置いておくとよいです。