■ドナルドダックボイス現象とは?
テレビのバラエティ番組などで時折「ヘリウムガスを吸って話すと変な声になる」というようなパフォーマンスが見られます。
ディズニーアニメに「ドナルドダック」というアヒルのキャラクターがいますが、アヒルの鳴き声を真似たような甲高い声で非常に特徴的です。ヘリウムガスを吸ったときに声が変化する現象はこのドナルドダックに由来して、
「ドナルドダックボイス現象」
「ドナルドダック現象」
「ドナルドダック効果」
などと呼ばれています。
■ヘリウムガスを吸うと声が変化する理由
人間が声を出す(すなわち声帯が振動する)とその振動は空気へ伝わり、やがては聞き手の人間の鼓膜の振動となることで、人間の声が音として認識されます。骨伝導のような特殊な場合を除くと、人間が音を感じるときにはほとんどの場合、空気を介しています。
音の速度は音を伝える物質の密度や硬さといった状態によって変化し、物質が軽くて硬いほど音が速く伝わります。空気には様々な成分が存在していますが、大部分は窒素であり、おおまかには窒素と酸素が4:1で混合されたようなものです。(ちなみに市販のヘリウムガスボンベにも、酸欠による事故防止のためある程度の酸素が含まれています。)
ヘリウムは水素についで2番目に軽い気体であり、ヘリウム気体中の音速は空気中の音速の約3倍にもなります。物理法則から、音の速度が約3倍になると周波数も約3倍になるため、ヘリウムを吸って出した声は、その分だけ一時的に声が高くなって聴こえるということです。
■なぜヘリウムガスが使われるか?
ヘリウムは非常に化学反応を起こしにくい希ガス元素の一つで、無臭、無毒であり、非常に軽い気体であるため、こういった声を変えるパフォーマンスに使用するには適した気体であるといえます。ただし酸素を含まない気体を多量に吸い込むと一時的に酸欠状態になり、ヘリウムといえど危険です。そのため前述した通りに、市販のヘリウムガスボンベにも酸欠による事故防止のためある程度の酸素が含まれています。