コード構成音やスケール構成音の表記の仕方として「ピッチクラス」というのがあります。学問用語としてピッチクラス・セット理論というのがよく知られているようです。
ここでは学問的な雰囲気を除いて、ピッチクラス表記の意味や表記例などを簡単に紹介してみます。
■ピッチクラスって何?
ピッチクラスの意味や使われ方、そして僕自身が感じているメリットを一言で表現してみますと、
ピッチクラスとは:
同じ音名の音を同じ数字で表記する形式において、その同じ数字で表記される音(要はオクターブ違いの音)の集合のこと。
ピッチクラスの使われ方の例:
コードやスケール構成音の表記。
ピッチクラスのメリットの一例:
コードやスケール構成音の表記をルート音やキーによらず、一般化した形で表記できること。
という感じです。少し難しくなってしまったので、説明してみます。
■ピッチクラス値の定義
難しい定義はwikipedia等にも書いてありますが、ここでは少し易しく噛み砕いた内容で説明します。
繰り返しになりますが、
ピッチクラス値は、同じ音名の音を同じ数字(文字)で表記したもので、以下の表のように対応しています。
なお、10と11はA,Bと表記されることの方が一般的なようです。プログラマの16進法のような表記ですね。アルファベットは音階名の一般的な表記としても用いられているので混同しないように注意が必要です。
■ピッチクラスの転用(移動ドの考え方)とその例
基本はこれだけなのですが、この発展系として、
コードやスケールの基準音(つまりは、コードのルート音、キーやスケールの主音)を0とし、そこからの相対的な位置をピッチクラスで表現されることもあります。
言い換えると、
12音階を時計のように並べて基準音(コードのルート音、キーやスケールの主音)を0時としたとき、他の音が何時であるかで表記する、ということです。
わかりやすく図にしてみます。
まずはCメジャーコード構成音の例。
Cメジャーコードの構成音はドミソなので、ルート音であるドを0とすると、構成音は[0 4 7]となります。
次にAメジャーコードの例。
Aメジャーコードの構成音はラド#ミです。今度はルート音がラになるのでラを0とすると、構成音は[0 4 7]。
上記のようにメジャーコードは、完全1度(ルート音)、長3度、完全5度を構成音に持つため、この構成音をピッチクラス表記するとすべて[0 4 7]となります。
つまりピッチクラスは、メジャーコードは[0 4 7]、マイナーコードは[0 3 7]といったように、各コードタイプの構成音を同じように表現できるということです。
スケールの場合も同様で、例えばメジャースケールの場合は、トニックを0とするとスケール構成音は[024579B]と表現できますね。
コードタイプの複雑なもの等だと表記がスッキリするので。このサイト内でも時々ピッチクラス表記を記載することがあるかもしれませんので、よろしくお願いします。
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